臨床検査技術科

臨床検査技術科の基本方針について

私たち臨床検査技術科15名は、下記基本方針の基、県民の健康を守る自治体病院としての使命を自覚し、県民に信頼され、愛される医療の実践者として、医療チームにおける役割を果たし、社会の求める良質な精度の高い臨床検査データを迅速に提供すること目的として日々取り組んでいます。

  1. 地域と連携をはかり、地域住民の健康増進に貢献する。
  2. 患者さんの診断、治療のために、良質な検査データの報告に努める。
  3. 内部精度管理の充実、又外部精度管理にも積極的に参加する。
  4. 検査技術の向上の為、資質の研鑽に努める。
  5. 医療事故防止対策に進んで貢献する。
  6. 検査試薬、診療材料の適正な使用、管理に努める。

仕事の内容について

医師は正しい診断をするために患者さんの身体の異変を知る必要があります。正常な状態とどのように異なるのか、患者さんを検査し、その検査データを医師の診断に役立てるのが臨床検査技師の仕事です。以前(昔)は医師が検査していましたが、技術・機器・システム等の進歩により、業務が高度化・複雑化する中で、検査を専門に行う「臨床検査技師」という仕事が生まれました。高齢社会を迎えた現代においては医療需要が高まる中で病気の予防・早期発見という観点から、健康診断や人間ドッグなど臨床検査技師の業務範囲が拡大しています。

それでは、臨床検査技師の業務内容について少し具体的に触れます。

検体検査

体内を流れる血液や髄液、身体をつくっている細胞・組織や器官、また排出される尿や便など、検査をするために患者さんから採取したものを「検体」と呼びます。そして、これらの検体を使用して身体の状態を調べる検査を「検体検査」と呼びます。検体検査は次のように細分化されます。

一般検査
尿の成分を調べて腎臓や肝臓の状態を確認します。また、便を用いて消化管の異常を確認したり、顕微鏡を用いて寄生虫卵を探したりします。
血液学的検査
血液を構成する血球などを数えて貧血の程度を調べたり、 炎症の程度を確認したりします。
生化学的検査
血液中の糖、蛋白、脂質、電解質、ビタミン、ホルモンなどを調べて、体の異常を把握します。
免疫血清学的検査
血液中の免疫の状態を調べて、体に侵入したウイルスなどを特定します。
微生物学的検査
採取した検体を培養して、細菌感染症などの原因となっている微生物を検出します。また、その微生物に有効な薬剤を調べたりもします。
輸血関連検査
輸血のための血液型を調べたり、実際に輸血する血液が適合するかの試験(交差適合試験)をします。
病理学的検査
臓器や組織の一部、あるいは細胞を顕微鏡で観察して、悪性の細胞などを見つけます。
【遠隔術中迅速病理診断(テレパソロジー)】

手術中に採取された組織の一部について凍結標本を作製し、病理診断を実施し、手術中の担当医に結果報告するものです。当院は病理医が不在であることから、岩手医科大学附属病院病理診断科との間で専用回線を用いたテレパソロジーを実施しています。このことは、患者さんの術後の生活の質(QOL:クオリティ オブ ライフ)の向上にとって大きな意味を持つものです。

生理機能検査

超音波(エコー)検査、心電図検査、呼吸機能検査、脳波検査、聴力検査など直接患者さんの身体に触れて行う検査を「生理機能検査」と呼びます。

これらの臨床検査は、医師の指示の下に実施され、臨床検査データとして医師に報告され、問診・身体所見・他検査等と合わせて根拠に基づいた診断や治療方針が決定されます。救急医療における緊急検査や緊急輸血については24時間体制で対応しています。また、臨床検査を通じて院内感染予防や輸血療法など幅広くチーム医療にも参画しています。更に、二戸圏域内の岩手県立一戸病院、岩手県立軽米病院及び岩手県立二戸病院附属九戸地域診療センターとの連携の中で、検体集約あるいは試薬・材料の効率的共同利用を実施しています。岩手県立軽米病院及び岩手県立二戸病院附属九戸地域診療センターには、当院より業務応援を実施しています。